特殊清掃にかかる時間や費用は、遺体があった場所や汚れ具合などによって異なります。なぜなら、汚れの種類や付着している箇所によって掃除の仕方に違いがあるためです。たとえば、お年寄りが亡くなりやすい場所として、トイレや浴槽などがあげられます。
便座に座った状態で亡くなった人と、浴槽の水に浸かりながら亡くなった人とでは、部屋に残る痕が違います。特殊清掃業者は、さまざまな状態にあった掃除方法を駆使しておこなうため、明確な費用をインターネット上のみで知るのは難しいのです。
当記事では特殊清掃の事例を用いて、その清掃にかかる費用や特集清掃業者の業務内容についてご紹介いたします。参考のひとつとしてご覧ください。
目次
特殊清掃の事例|ベッドや浴室・トイレで亡くなるケースは多い
孤独死の場合、ベッドの上や浴室、トイレで亡くなることがあります。浴室・トイレは服を脱いだり、いきんだりすることから血圧が変動しやすく、それが原因となり高齢者が亡くなることが多いのです。以下にて、特殊清掃の事例の一部をご紹介いたします。
【ベッド・畳の上】の事例と対処
ベッドや布団、畳は水分を吸収しますので、汚れを落とすというよりは丸ごと交換、撤去となることがほとんどです。床にも腐敗体液が広がり、染み込んでしまっていた場合は一部取り換えとなることでしょう。
部屋の広さなどによってもかかる費用には違いがありますが、布団や畳の回収、清掃、遺品の整理などの作業にかかる費用は45万円ほどとなっています。
【浴室】の事例と対処
入浴中に亡くなると、茶色く変色したヘドロのような腐敗した水が浴槽の中に溜まります。その水を排水溝へと流してもよいのか、どうするのが正しいのか、わからない人は多いことでしょう。業者には清掃から汚物の除去、消臭消毒などを依頼できます。浴室で亡くなっていた場合にかかる費用は19万円ほどです。
【トイレ】の事例と対処
トイレで亡くなると、壁や床だけでなく便器と貯水タンクの中にも腐敗体液がこびりついていることがあります。一見、掃除範囲は浴室のときよりも「狭いため費用もその分おさえられるのでは……?」と思うかもしれません。
しかしトイレの床は浴室の床とは違い水に強くないため、床の掃除には手間がかかります。そのため清掃費用は、35万円ほどとなっています。
不用品の処分と原状回復について
ものが散乱している部屋で人が亡くなった場合、遺体の痕跡の取り除き作業だけでは部屋をきれいにすることができません。特殊清掃業者の多くは、そういった部屋もきれいに掃除ができるように家具や粗大ごみの分別、処分も請け負っています。
また、物件運営をしているオーナーは不用品の処理だけでなく原状回復もおこない、再び部屋を使えるようにしたいところでしょう。業者によって業務内容には違いがありますが、原状回復も含めて清掃を依頼することも可能です。
孤独死だったときは遺品整理も業者に依頼しよう
部屋の中には不用品だけでなく、故人の思い出の品や遺品などもあるかもしれません。しかし、遺体があった痕が残っている部屋では、遺品整理がやりにくいという人や故人のプライベートな私物は見たくないという人もいるでしょう。
そんなときにも、業者のちからを借りることができます。特殊清掃とともに、遺品の処分や整理もおこなってくれる業者があるのです。遺品のことで不安がある人は、業者にそのことを相談してみてください。
清掃にかかる費用の支払い義務は基本「連帯保証人」にある

持ち家の場合、特殊清掃費用の支払い義務が発生するのは「家の所有者」です。たとえば戸建て住宅に、子どもがいるお年寄りがひとりで住んでいたとします。
そのお年寄りが亡くなると、家の所有者は親から子へ入れ替わります。その時点で子は「法定相続人」となり、家の所有者であるため遺体の清掃義務が発生するのです。
賃貸物件で特殊清掃をする場合、費用の支払い義務がある人はその部屋を借りていた人の「連帯保証人」です。ただし、中には物件のオーナーが費用の支払いをおこなうケースもあります。
連帯保証人が見つからない場合
部屋を貸していた住人が亡くなり、特殊清掃の必要があったとします。費用の負担は、亡くなった人の連帯保証人や遺族がと考える人は多いでしょう。
たしかに、亡くなった人の連帯保証人がわかれば、オーナーは清掃費用を負担せずにすみます。しかし、身寄りや保証人がおらず、責任の所在がわからないケースも多いのです。
連帯保証人が特定できなかった場合、不動産管理会社はオーナーが費用をだして、処理をおこなうことをすすめます。費用負担を嫌ったオーナーが返答を渋ることもありますが、住人からのクレームや退居を防ぐため、オーナー負担で処理をするというパターンも少なくありません。
見積り内容や掃除の流れを開示してくれる業者を選ぼう
特殊清掃の依頼には、一般的な清掃よりも費用がかかります。早く清掃をおこないたいかもしれませんが、相場よりも高い費用を請求されるなどのトラブルを防ぐため、依頼する業者はしっかりと選びましょう。
特集清掃の依頼から完了までの手順をご紹介いたします。業務の流れや費用を明確に提示しない業者は少し注意が必要です。
相談から清掃完了までの流れ
業者に電話等で特殊清掃の依頼をすると、まずは現地調査をおこなうための日程を決めます。そして現地調査が終わったあとに見積り内容が提示されます。
費用やサービスに納得がいかない場合はここで断ることも可能です。見積り内容に納得がいったら、清掃する日を決めます。料金の支払いは、清掃が終わったあとであることが多いです。しかし、業者によっては清掃前に支払うこともありますので、自分にあったほうを選んでください。
業者選びのポイント
提供しているサービスや料金にはこまかな違いがありますので、いくつかの業者に相談してみましょう。また、現地におもむき見積りを取り、その見積り内容や費用を明確に開示してくれる業者がおすすめです。
業者によっては見積りを取ったあとに、費用が上乗せされることがあります。負担をおさえたい人はそういった対応がされないか、事前に確認をおこなってください。
ひどい痕でないときは自分で掃除をしてもよい

清掃は自分でおこなっても法律違反とはなりません。そのため、痕があまり残っておらず、賃貸物件でもない場合は個人でやってもよい場合があります。
清掃をおこなうときは、清掃用の特殊なゴーグルやマスク、手袋、全身防護服を着用してください。鼻や口からはもちろん、目からもウイルスや雑菌が入ることがあるため、これらは必要なアイテムです。軍手での作業は感染症のリスクがあり危険ですので、頑丈なゴム手袋を重ねて着用するなどして自分の身を守ることに徹底しましょう。
しかし、上記のようにしっかりと道具を揃えたとしても、血液や腐乱した体液からの感染症のリスクはありますので、プロに依頼するほうがおすすめです。
まとめ
物件運営のオーナーやひとり暮らしをしているお年寄りがいるご家庭は、上記にてご紹介した特殊清掃の事例に類似したことが、今後起こるかもしれません。オーナーは対応が遅れてしまうと、物件運営が難しくなる場合があるため早めの対処が求められます。
身内であっても、遺体の状態によっては個人での掃除が難しいケースがあります。無理に掃除をおこなうと、感染症のリスク、においによる近隣住民からのクレームなども起こる場合がありますので、トラブルを回避するためにも業者に相談してみましょう。
遺品を処分してほしくないときは、しっかりそのことを業者に伝えてください。納得のいく清掃をおこなってくれる業者に依頼することがおすすめです。
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