このご時世、少子高齢化と呼ばれ、名の通り高齢者が増えています。そのため、老々介護や孤独死などの言葉がよく聞こえてくるようになりました。以前なら、遺品の整理は子どもがおこなうケースが多かったのですが、今は子どもも高齢であるため、遺品の整理が困難となっています。
そして、それと同時に「遺品整理士」という職業の需要が高まりつつあります。ここでは、遺品整理士になるにはどうしたらよいのか、さらに仕事内容などについて徹底紹介していきます。
遺品整理士とは
遺品整理士になるには、遺品整理士という仕事の役目をしっかり理解しておく必要があるでしょう。この章では遺品整理士について詳しくご紹介します。
遺品整理士の役割
まず初めに遺品とは、「故人が使ってきた家具や器具、衣類など」を指します。文字通り、遺品整理士はこのような「遺品」を整理するのが役割です。遺品と一言でいっても、遺族にとって遺品とは形見でもあります。つまり、遺品整理士は故人と遺族をつなぐ架け橋となるのです。
遺品整理士の仕事内容
はじめに遺族と相談します。遺族の要望を確認し、亡くなった方のお部屋を清掃、片付けをします。さらに、不要品の処分や回収を正しくおこなうことが主な仕事内容です。大きくわけて、4つに分類されます。
・遺品の仕分けをおこなう
遺族と相談したうえで、遺品を「残すもの」「処分するもの」「供養するもの」にわけていきます。
・供養をおこなう
遺族から遺品の供養を依頼された場合、ふつう菩提寺(ぼだいじ)で供養をするでしょう。最近は菩提寺がない家庭も多いので、その場合、遺品整理士は遺族に供養が可能な場所を紹介します。
・不要品や廃棄物を処分する
遺族と相談しあい、廃棄することになったものは処分します。自治体のルールに従うため、処分できない遺品はリサイクルなどに回す場合や、不要品回収業者へ依頼する場合があります。
・遺品整理以外の業務
遺品整理以外の仕事をする場合もあります。それは、遺族がいない人の遺品整理をおこなう場合です。故人のお部屋の清掃、除菌などを担当します。どんな現場においても、故人に敬意を払い遺品を整理することがきわめて大切な仕事です。
これまで遺族がおこなっていた遺品整理ですが、遺族の時間が無いなどといった理由で、遺品整理士に任せることが多くなっています。
遺産整理との違い
遺産整理は司法書士などの法律家がおこなうものです。というもの、貯金や不動産など故人の財産を相続人へ引き継ぐ必要がありますよね。遺産整理は法律やお金も大きく関わるため、遺品整理士がかかわる範囲とは大きく異なるのです。
遺品整理士になる方法

この章では、実際に遺品整理士になるにはどうすればよいのかをご紹介していきます。
遺品整理士になるための手順
1.講座の申し込み手続きをおこなう
まず、遺品整理士認定協会へ申し込みましょう。電話、WEBどちらでも申し込みは可能です。受講は誰でもできます。だいたい2カ月の間で通信講座を受講すると考えておいてよいでしょう。
2.受講が開始したら?
教本や資料集、問題集などが届きます。主に遺品に接する心構えや廃棄物を処理する場合の法律などを学びます。受講期間の延長は無料でおこなうことができますので、遺品管理士認定協会へ連絡してみるとよいでしょう。
3.課題レポートを作成し、提出
受講を終えたあと、遺品整理士認定協会へレポートを提出します。郵送・WEB上、どちらでも可能です。このレポートで合否が決まりますので、しっかりとレポートを完成させましょう。合否通知は約2カ月で届きます。
4.合否通知
約2か月後に、合否通知が届くので確認しましょう。合格していた場合、認定手続きをおこないます。
5.認定証書を発行し、資格取得!
認定証書が発行され、遺品整理士の資格を取得することができます。遺品整理士の合格率は65%ほどであるため、それほどハードルが高くはないといえるかもしれません。通信講座ですので、あなたの隙間時間に受講できるのも大きな魅力ですね。
遺品整理士の就職先について
遺品整理士の就職先は、遺品整理専門業者や不要品処分業者があります。また、リサイクル業者や引っ越し業者、冠婚葬祭業者も含まれるでしょう。今後、もっと高齢者ビジネスは発達していくので、就職先は増えていくのではないでしょうか。
資格がなくても遺品整理士になれる?
単刀直入にいうと、なれます。依頼自体受けることは可能ですが、やはり資格は持っていた方がよいでしょう。理由として、専門家としての信頼を得られるほか、遺品を正しい心構えで、正しく取り扱うことができるためです。
悲しいですが、遺品を粗末に扱ったり、わりに合わない高額な料金を請求したりする悪質な業者もいます。悪質な業者との差別化をはかるため、遺品整理士認定という資格制度が導入されました。資格は、自分の心構えやプロ意識を遺族に証明する手段となるでしょう。
いま、遺品整理士が求められている
現在の日本は65歳以上の人口割合が非常に高く、世界規模で比べても上位です。今後もその傾向は変わらず、高齢者は増え続けると予想されています。そのため、高齢者をターゲットにする会社が多く増えています。
しかし、遺品整理士は知識や倫理などといった部分で差が大きくあるでしょう。遺品整理に対し正しい心構えでおこなっている業者ばかりではなく、収入だけ求めている場合もあります。
信頼される遺品整理士になるには、資格の取得もそうですが、遺族の気持ちを汲み取ることは非常に大切となってきます。
高齢化社会での活躍が期待される人たち

高齢化社会が今後も続いていくなかで、遺品整理士になるには支えあいが必要です。ここでは遺品整理士のほかに、高齢化社会を支える人たちについてご紹介します。
介護福祉士をはじめとした福祉関係者
介護福祉士とは、介護に関する国家資格です。介護を必要としたお年寄りや障害を持つ人に、食事や入浴、排せつなどをお手伝いしながら、スムーズな日常生活の手助けをします。そのほかに、介護者の精神面を支えるのも仕事です。
ホームヘルパーやケアマネージャーなども福祉関係者に挙げられます。
医療従事者
高齢者はがんや合併症などのリスクが伴うため、病気にかかりやすくなります。それに応じて、医者や看護師などの需要も高まるでしょう。病気にかかってしまうと、高齢の患者は不安になります。もし、親族がなくなってしまっている場合はさらに心細い思いをするでしょう。
患者の不安を取り除くことは医療従事者の大きな役目です。信頼される医療の現場づくりが今後大切になるでしょう。
特殊清掃員
特殊清掃員は住人がなくなったあとの、通常の清掃では困難なお部屋を清掃する業者です。遺体が腐敗しており、時間の経過で臭気もしみこんでしまっている場合があります。今後孤独死が増えるなかで、特殊清掃員はきわめて重要な存在となるでしょう。
まとめ
これまで遺品整理士になる方法や、仕事内容についてご紹介してきました。遺品整理士になるには資格は必要ありませんが、あるに越したことはありません。遺族の人から信頼を得られるので、資格取得はしておくとよいでしょう。
現代では、遺品整理士の需要は確実に高まっています。もしも身近で、死に直面した際には信頼できる遺品整理士に対処を任せるとよいでしょう。
遺品整理士は社会貢献度が高く、遺族の方に心の底から「ありがとう」をいただける素敵なお仕事です。遺品整理士の目的を理解して、受講を試みてはいかがでしょうか。