現代の問題で挙げられている孤独死の問題。ここ最近では、高齢者の孤独死について注目が集まっています。しかし、孤独死してしまうのは高齢者の方だけなのでしょうか?
実は、若者の孤独死も存在しているんです。近年では、ご近所付き合いなどが頻繁におこなわれなくなっている傾向が見られます。とくに、若年層に近づけば近づくほどその傾向は高いです。なぜ、若者の孤独死が見られるのか……不思議に思う方も多くいらっしゃるかと思います。
今回は、若者たちがなぜ孤独死してしまうのかについて、解説します
目次
孤独死の現状。もはや高齢者だけの問題ではない
冒頭に書いたように、孤独死は高齢者だけの問題ではなくなっています。なぜ若者たちが孤独死するのか、その理由を掘り下げてみましょう。
20~30代の孤独死が急増している
一人暮らしする若者は、早い年齢では10代後半からする方や、未婚の方など、一人暮らしする理由はさまざまあります。病気になったりフリーターでやりくりしたりしている人は、一人暮らしの間に金銭面に余裕がなくなって、ろくに食事をとらなかったために、次第に衰弱が進み、ひとり亡くなってしまうケースが多くなってきているようです。
一人暮らしの若者が孤独死を迎える原因とは

前述では、餓死や病死などでの孤独死を挙げました。しかし、それ以外にもさまざまな原因で孤独死するケースがあります。ここからは、多様な原因の中から3つの事柄をご紹介していきます。
雇用問題
一人暮らしの最中に、「突然、会社からクビにされた」や「会社を辞めて、転職しようにも雇用してもらえない」などの理由で、金銭面に余裕が持てずに、亡くなってしまう方がいるのです。
そして、現代の30代に多いのが就職氷河期によって就職する機会を逃してしまったという方もいます。当時では、バブル崩壊と同時に就職できないというケースがたくさんありました。20代の間に就職できず、いまでも正規雇用とならず生活が苦しいケースや、生活に余裕がなく、心身ともにすり減り孤独死するケースがあるのです。
貧困問題
この貧困問題は、雇用問題と深く関わっています。職に就けなければ、収入がなく着の身着のままの生活を余儀なくされ、食事なども栄養が取れずに栄養失調を起こしたりしてしまいます。栄養を十分に取れていないと、倦怠感に襲われ動けなくなってしまい、誰にも気づかれず孤独死してしまう方もいます。
精神的ストレス
精神的ストレスも雇用問題や貧困問題に直結する問題です。職がないと、金銭面に不安を感じるようになり、収入が入ってこないため貧困に陥ります。その貧困生活での精神的ストレスは計り知れないものです。今まで実家に暮らし安定した生活を送っていた人はなおさら、ストレスが掛かってしまうでしょう。
精神的ストレスは、倦怠感や頭痛、腹痛なども引き起こしてしまうのです。外見だけでは気づきにくいため自分自身で発信していかないと、孤独死を招く可能性が高まってしまうのです。
孤独死しやすい若者のおもな特徴4つ
上記では、若者の孤独死の原因についてまとめました。この章では、孤独死しやすい若者の4つの特徴について解説していきます。
人とのコミュニケーションが苦
現代でいう「コミュ障」というものです。コミュニケーションに対する苦手意識には、性格の問題というよりも家庭環境が大きく関わっていると考えられています。
まだ、「私・僕はコミュ障だから……」と言っている間は、周りの方が見守ってくれたり、話についていけなかったら助け舟を出してくれたりします。しかし、本人から「コミュニケーションが苦手」という発信がないと、大人しい性格なのだなと認識され、周りの人が自然と離れていってしまうこともあるのです。
地域や友人との関りが少ない
最初にも少し触れましたが、地域との関りが極端に少ないことは、現代の若者が直面する問題です。ご近所の方との関りが少ないと、普段なにをしている人なのか、どんな生活スタイルを持っているのかといったことが見えてきません。そのため、孤独死したことすら気づかれないこともあります。
友人の関りもとても重要になってきます。例えば、連絡をあまり取っていないと連絡が途絶え、今どのような現状かが掴みづらくなるからです。
また、友人と互いに顔を合わせる頻度も重要です。実際に会うのと会わないのとでは大きな差が生まれます。メッセージでは元気に振舞っていても、実際はそうでないかもしれないからです。
友人間や地域も距離を置いてしまうと、周囲に溶け込みづらくなり、助けて欲しいときに助けを呼べなくなってしまいます。
家族が遠方にいる・仲が悪い
家族が遠方にいる場合だと、なかなか助けが呼べなかったり行き来が難しかったりします。例えば、飛行機に乗らないといけないとなるとどうしても時間が掛かってしまうことがあります。さらに、家族との仲が悪いと「嫌いだから、助けを呼びたくない!」というプライドが邪魔をする場合や、もしくは連絡をしても来てもらえないケースもあるようです。
それぞれ家庭の形は違うため一概に「こういうもの」とは言い切れませんが、それぞれの家庭の抱える問題によってことが違ってきます。
頼れる人がいない
遠慮なく相談できる恋人や親友がいない場合もあります。やはり気兼ねなく相談できる相手がいるのといないとでは、大きな差があります。誰しもに恋人や親友がいるわけではありません。恋人や親友がいないとなると必然的に一人になる時間が増えて、外にでる機会も少なくなってしまいます。
孤独死を防ぐために周囲の人間ができること

孤独死してしまう若者に対して、周囲の人間ができることはなんでしょうか。周囲の人が少しでもできることについて、まとめました。
周囲と積極的なコミュニケーションを促す
やはり、孤独死を防ぐには人との繋がりを作ってあげることが大切になっていきます。例えば、こまめに連絡をとったりして現状を把握できるといいでしょう。そして、会社や学校などでの自分が所属しているサークルや、会社・学校に係わらず自分の友達で仲良くなれそうな人を紹介してみたりするのもいいでしょう。
定期的に健康診断を受けるようにすすめる
孤独死の原因で多いのは、衰弱や養失調、病死です。人間、体が資本なのでひとたび崩れてしまうと、なかなか立て直せないものです。突然、身体の異変が起きる前に、事前の健康診断がとても重要です。
もしも日ごろの体調が悪そうな人が周囲にいたら、健康診断をすすめてみましょう。中には、無料で診断をおこなってくれる団体もあるので、調べてみるといいでしょう。
孤独死防止に効くアプリを利用する
今は、ネット社会になり人との関わり合いが減ってきています。しかし、そんなネット社会だからこそ利用できるサービスがあります。それは、携帯会社などで利用できるものが多いです。
例えば、毎朝アラームを止めると自動的にメールが送信される機能があり、これなら生存確認ができます。そして、携帯の使用時間や状況などを、家族にメールで伝えるという機能もあるようです。
しかし、アプリなので、緊急時の対処には不向きといえます。やはり、人とのコミュニケーションをとりながら孤独死防止に効くアプリを利用するといいでしょう。
本人の気持ちに寄り添うことが大切
上記では、さまざまな孤独死防止方法があるということが分かりました。しかし、なによりも尊重しなければいけないのは本人の気持ちです。
例えば、「正社員で働きたくても雇用してもらえない。」「やりたいことがあるのに、お金がなくてできない。」「精神的ストレスで働くことが困難……。」さまざまな問題を抱えています。
数多くある問題を周りが理解しながら、本人の考えを聞き、寄り添って解決策を考えることが、一番効果的な問題解決となるでしょう。また、悩みを聞く中で一人暮らしの若者自身に心を開いてもらうことも、最悪の事態を防ぐ鍵となるでしょう。
まとめ
孤独死してしまう原因や、その対策について、さまざまなことをまとめました。周囲の人とのかかわりが希薄な現代では、身近な家族や友人、地域の人でコミュニケーションをとることが、孤独死減少につながります。
心配な人が周りにいる場合、ときには外へと連れ出して人との交流を広げるよう促すことがとても重要です。とはいえ一番大切なのは本人の意思ですので、意思を尊重し解決策を考えていくことが、なによりも大切です。
もしもいろんな方法を試したけど孤独死をしてしまったという悲しいケースに遭いましたら、遺品などの整理をしなくてはなりません。しかし、整理をしている間に、気が重くなって心苦しく、どうしようもない喪失感をかんじてしまうおそれがあります。
突然のことで頭が追い付かないという方や、自分ですることに少しでも不安がある人は、業者に頼るのが1つの手です。