高齢化が進む現代日本……。地域コミュニティの崩壊や核家族化、リストラ、離婚などが原因となり、一人暮らしの高齢者も増えてきました。そんな現代日本においては、多くの人が孤独死するリスクを抱えて生きています。孤独死とは、一人暮らしの方がひっそりと誰からも看取られずに亡くなること。核家族化が進んだ今の時代では、配偶者を亡くした方が孤独死するケースも多いようです。
人が亡くなると、その後の部屋は一体どうなるのでしょうか。ちょっと想像したくない、という方もいらっしゃることでしょう。死に関することはタブーであり、恐ろしいという気持ちも起こるのであまり知りたくないものです。しかし誰もが孤独死する危険がある今、孤独死が起こったらどうなるのかということを、私たちは知識として知っておくべきではないでしょうか。
そこで今回は、人が亡くなったらその後どうなるのか、知っておくと役に立つ情報をまとめました。孤独死を防ぐためにも、今回の記事をぜひ知識として知っていただければと思います。
目次
死体にはウジ虫?でも体から発生しているわけではありません
人が亡くなっても死体に適切な処置をせず放っておくと、腐敗してしまいます。死体をそのままにして放っておくと、ウジ虫がわくことがあります。しかし、それは決して死体から自然にウジ虫が発生をしているわけではないのです。
家の中でハエを見かけることはあっても、その幼虫であるウジ虫がどのように生まれているのかは、あまり一般には知られていないようです。こちらでは、ウジ虫の発生の仕方についてご紹介します。
ハエが死体に群がり卵を産む
ハエというのは、栄養があるところならどこでも卵を産み付けてしまう習性があります。腐った食物や生き物のフン、そして人や動物の死体も、例外ではありません。
ご家庭でも見かける機会の多いイエバエ。イエバエは人間の出した生ゴミや家畜の堆肥などから生まれます。イエバエの成虫が生きられるのは1カ月だけですが100個前後の卵を5回ほども生むので、繁殖力が高いです。腐敗したものに卵を産み付ける習性があり、人の死体にも卵を産み付けます。
ニクバエはイエバエとは違い、胎生です。体内で孵化したウジ虫を、エサとなる人や家畜の糞便や人や動物の死体に産み付けます。実際には死体からウジ虫が産まれているのではなく、ウジ虫のエサとして都合がいいので、成虫に卵や幼虫を産み付けられているだけなのです。
卵が孵化しウジ虫に
ハエの卵は死体に産み付けられると、1日も経たないうちに孵化をして、ウジ虫になります。栄養を補給しようと、どんどん死体の内部まで入り込んでいき、うごめきながら移動していきます。その様子が、あたかもウジ虫が死体から発生しているように見えてしまうのです。ウジ虫は死体をエサとして短期間でますます成長し、栄養を補給してサナギになっていきます。
ウジ虫の成長は早い!ウジ虫の生態について

ウジ虫は、一週間ほどでサナギとなります。そしてサナギとなると、また一週間ほどで成虫になります。成虫になってからは、一カ月ほどの寿命となります。ハエが成長していく過程で、成長する期間というものが大体どれくらいなのかはすでに分かっていることです。そのため法医学の世界では、ウジ虫の状態によって死後経過の時間を知ることができます。
ウジ虫が死体をエサとすると、死体が崩壊していきます。ウジ虫が死体を崩壊させていくスピードは、死体が自然に腐敗していくよりも早いといわれています。
ウジ虫がわいた死体…孤独死がまねく悲惨な現場
人が孤独死した部屋というのは、死体から出た体液や死臭で汚染されます。その現場は悲惨なもので、元の状態に戻すのは簡単ではありません。
さっきまで生きていた証。部屋には生活ゴミ
孤独死をするような人の部屋は、たいてい生活用品が散らかっており、ゴミもきちんとした場所に捨てられていないことが多いです。このような状態というのは、ある意味その方がついさっきまで生きていた証です。
遺体が腐乱し、体液と死臭が出る
雑然とした部屋で死体が腐敗し、死臭がわき体液が体外へ流れ出し床に染みたりします。人の体の多くは水分でできているので、流れ出る体液の量も相当なものとなります。床板に染み込んで悪臭を放つので、部屋を元の状態に戻すには、特殊な清掃と臭い取りを行った後、さらにリフォームをしなければならなくなります。
ウジ虫、ハエ、ゴキブリ…虫がわく
死臭をかいで、ハエが何匹もやってきて、卵や幼虫を数十匹~100匹以上の死体に産み付けます。人の目には養分が多いので、まず目から産卵をすることが多いです。1日も経たないうちに卵は孵化してウジ虫となり、一週間程度で成虫へと育っていきます。そしてまた一カ月ほど経つと、成虫が産卵を始めるというサイクルを繰り返して繁殖していくのです。
腐敗が進み、死臭が漏れ出す
死体の腐敗が進むと、死臭が漏れだします。体内の微生物は、人が亡くなると匂いとなります。強烈な臭いの元は、酪酸菌という微生物が原因といわれています。死体が放置されたままだと、その強烈な臭いが近所まで漏れていき、発見されるというケースがよくあります。死臭がつきやすいのが、一番近いベランダの洗濯物です。あまりに長い間放置された死体の死臭は、特別な機材を使って除去してもなかなか完全に取り切れない場合もあります。
血液、体液、汚物…シミとなり遺体の痕跡が残る
部屋で人が亡くなり、そのまま発見されないと腐敗が進み、体から体液が染み出します。死体から染み出た血液や体液、汚物がシミとなって、遺体の痕跡が部屋に残ってしまいます。近所まで届くような強烈な悪臭が、孤独死の現場にはあふれかえっています。
発見が遅れた場合の部屋の処理は特殊清掃のプロにまかせよう

核家族化が進む前は、子供や孫に看取られて亡くなることが大半でした。このように人に看取られて亡くなるということは、故人と最後のお別れをすると同時に、死体の崩壊を妨げることにもなっていたのです。しかし今では誰からも看取られないケースが増えており、死体が崩壊することで問題が起こってきています。
死体がずっと発見されないと遺体の損傷が激しくなり、ウジ虫も繁殖を繰り返してしまい、その数が増えます。死体からは血液や体液がどんどん流れ出し、その悪臭は強烈なものとなっていくでしょう。孤独死の発見が遅くなればなるほど、元の状態に戻すのはより難しくなってしまうのです。
畳の下まで染み込んだ体液のシミや悪臭を取り除くのは、一般の方には難しいもの。孤独死の現場の清掃を知識のない人が行うと、感染症に孤独士による部屋のかかる危険があります。原状回復には、特殊な清掃が必ず必要となってくるのです。
孤独死の清掃は「特殊清掃」と呼ばれ、悪臭を特別な機器で取り除いたり、ハエやウジ虫などの害虫を駆除したりしてくれます。また、今では遺品整理や供養もしてくれる業者も多いようです。
孤独死の現場に遭遇すると、大抵の人は動揺して対処に困るもの。しかし、このようなケースを扱うプロは、慣れた手つきで片付けや清掃を進めてくれます。このような業者に依頼すれば、孤独死の現場を時間をかけずにきれいにすることができるのです。
まとめ
人が亡くなったら、すぐに葬儀や火葬、供養が行われることが理想です。人に看取られて亡くなるということは、故人と最後のお別れをすると同時に、死体の崩壊を妨げることにもなっていたのです。
しかし一人暮らしの高齢者が多く、一人で亡くなる方が増えている今の時代では、誰にも看取られないケースが増えてきました。誰にも看取られない死というものが、想像以上に過酷なものだとお分かりいただけたのではないでしょうか。
孤独死で亡くなる方が増えている状況の中では、人が亡くなってそのままになるとどうなるのかという知識が必要です。その過酷な現状を知っておけば、孤独死を防ごうという気持ちになるものです。死というものは、誰もが無縁ではいられないもの。高齢化が進む今だからこそ、孤独死の過酷な現状を知っておくべきでしょう。