「孤独死」という言葉、最近ニュースなどでよく耳にしますよね。
読んで字のごとく「孤独に死を迎える」という意味であることはお分かりいただけるかと思いますが、孤独死が起こる具体的な原因がなんなのか、あなたはご存知でしょうか。
ご存知の方は、今の時代の特徴をよく理解されている方かと思います。
孤独死は、現在の日本の深刻な社会問題が招いた現象と言われているのです。
この記事では、孤独死の知識や時代との関係、孤独死を事前に防ぐ方法や対処法について紹介します。
孤独死についての基礎知識
ここからは、「孤独死」という言葉の意味や孤独死が起こる原因を、時代との関連性を交えながら紹介していきます。
孤独死とは
一般的には、自室で誰にも看取られずに死亡することを指します。
死亡してから身内や第三者に発見されるまでの期間が長く、遺体の腐敗が進んでいることも問題になっています。
現在、孤独死という言葉に明確な定義は存在しないため、警察関係者は孤独死を「変死」と表現し、行政機関は「孤立死」としています。
孤独死が起こる原因
では、孤独死はなぜ起こってしまうのでしょうか。その原因を以下にまとめました。
① 高齢者の一人暮らし
② 病気などで家にひきこもっている状態
③ 失業などにより金銭的な余裕がない
④ 家族や近隣住民とのコミュニケーション不足
上記の4つは、どれも日本が抱える深刻な社会問題です。
これらが孤独死につながる理由とはなんでしょうか。
孤独死と時代背景
① 「高齢者の一人暮らし」について
核家族化や少子高齢化が進む現在、独居老人の数は年々増加しています。特に地方に住んでいる高齢者の場合は、子どもが顔を見せに帰省することはおろか、連絡をとることさえも極端に少なくなってしまうこともあります。
② 「病気などで家にひきこもっている状態」について
突然病気を患い、自宅療養中に起こるケース。特に、長年働いてきた重役の独身男性であれば、突然仕事ができなくなることへの喪失感は大きいもの。また、仕事中心だったために家事ができないと十分な栄養がとれず、人付き合いが得意でなかったりすると必然的にひとりきりの時間が増え、なおさら事態は悪化します。
③ 「失業などにより金銭的な余裕がない」について
不景気による会社の倒産やリストラにあうと、金銭的に苦労することになります。また、このことが理由となって精神面や体力面にも影響が出てくると、病気になる、熟年離婚やパートナーを喪失するなど二次的な問題につながることも考えられます。
⑤ 「家族や近隣住民とのコミュニケーション不足」について
上記3点に加えて、周囲の人たちとのコミュニケーションが希薄な場合は、孤独感を倍増させてしまいます。コミュニケーションが希薄になってしまうのは、「誰かといるより、ひとりのほうが気楽」と感じたり、「厄介ごとに巻き込まれたくない」と思ったりするなど、どちらかと言えば後ろ向きな考えをもって世間を見ている方が増えてきたからと言われています。
上記4つのような孤独死の原因に共通するものは「社会的孤立」です。
これは誰にとっても逃れられないことですが、孤立したときに自分がどのような心持ちでいるかどうかに注目すべきであると考えられます。
今の日本には、ひとりでなんでも完結できてしまう便利なものがあふれています。それゆえ、人とのつながりがおろそかになってしまいがちです。
ひと昔前の日本には車も携帯ありませんでした。それでも、家族とのやりとりはもちろん近隣住民との付き合いも、今の日本よりさかんにおこなわれていました。
こういった時代の変化をしっかりと見据えて、自分なりのコミュニケーションの輪と生活を築くことが重要になってきます。
孤独死しやすい人の特徴と対策方法

孤独死の原因を紹介してきましたが、続いては孤独死しやすい人の性質と、孤独死を防ぐ事前対策を紹介します。
孤独死しやすいのはこんな人
大きな原因は前章で紹介しましたが、孤独死しやすい人の特徴に関しては自分で改善できる余地があります。
なんらかのコミュニティに所属して人と交流する機会を設け、スポーツで体を動かして汗をかくといったことは、人間が生きていくうえでとても大切なことです。
また、やってみたいと思える趣味を見つけたり、行きたい場所を見つけて外出したりと、なにかに対する好奇心をもつことがすべての原動力になります。また、これをきっかけとしてコミュニケーションを増やすこともできます。
高齢者だけではありません
孤独死は今や独居老人にだけ降りかかる問題ではなく、独身の中年男性や中年女性にも多く見られます。なぜなら、結婚をせずに一生独身を貫く男女が増加傾向にあるからです。そうなった理由も、経済的余裕がないなど挙げたらきりがありません。
確かなことは、人は唯一言葉で思いを伝えられる生き物であること。遠い将来、社会的な立場を失ったとしても、あなたの隣に話し相手がいることの幸せを考えてみてはどうでしょうか。
家族がやるべき事前対策
もしも身内に孤独死の可能性が考えられる方がいたとしたら、事前に対策しておきたいですよね。家族が支援できることとしては、以下のようなものが挙げられます。
家族の中には、両親を老人ホームに入れるために貯金しているという方や、電気や水道などの使用状況を見て生活状況を把握しているという方もいます。
中には両親と折り合いが悪い、多忙のため気にかけることができないという方もいるでしょう。
家族のかたちはそれぞれなので、今の自分にできることから少しずつはじめてみてはいかがでしょうか。
身内が孤独死した場合の対処法
続いて、実際に孤独死の現場に遭遇してしまった場合はどうすればよいのかを紹介します。
遺体の取り扱い
遺体を発見したら、警察に通報します。
その後、遺体の安置場所や搬送の手配をおこない、葬儀の日取りを決めて関係者に連絡します。これらは葬儀屋に依頼するのが一般的です。
遺体を発見したのが第三者であった場合も、まずは警察に連絡をし、その後警察から家族へ連絡が入ります。
部屋の清掃
遺体が数日放置されていた場合であれば、家族が片づけをおこなうことが多いようです。しかし、何か月も放置されているような場合には、遺体の腐敗臭や汚れがひどくなり、遺体から流れ出た体液がフローリングに染み込み、そのうえハエなどの害虫が集まってくることがあるため、フローリングの張り替えや虫の駆除などが必要です。これらは通常の清掃業者では難しい作業のため、専門の清掃業者に依頼します。
もしも身元が判明しなかったら
もしも身元がわからない遺体を見つけてしまったときは、安置所の確保や配送などもろもろの手配が滞ってしまいます。あまりに時間がかかると腐敗がどんどん進んでしまうので、早急に部屋の清掃をおこなうことが重要です。その場合、清掃の費用を負担するのは連帯保証人と定められています。
孤独死の現場で必要とされる「特殊清掃業者」

特殊清掃業という職業をご存知でしょうか?あまり聞きなれない言葉だと思いますが、特殊清掃業は今の時代になくてはならない存在です。どういった役割をもつのか、つぎで解説していきます。
特殊清掃業者とは
ひとことで表すと、遺体があった部屋をきれいな状態に戻すために掃除をする人のことです。
遺体が放置されている期間が長ければ長いほど、清掃は過酷なものになります。
遺体のきつい臭いがしばらく自分の体から消えず、精神的な面で滅入ってしまう方も多い特殊清掃業。大変な仕事だからこそ、任せられる人がいることは安心です。
業者によって対応できる作業範囲は多少異なってきますが、おおまかな作業内容をここで紹介していきます。
特殊清掃の作業内容
① 消毒作業
ウィルス感染を防ぐために、まずは消毒作業をおこないます。
② 遺品整理、不要品の処分
遺品の整理をおこないます。体液や血液などで汚染されたものは不要品として処理します。
③ 特殊清掃
汚染された箇所は清掃、殺菌、消毒をおこないます。
④ 害虫駆除
害虫の種類や発生場所などに応じて、それに適した駆除をおこないます。
⑤ 汚染箇所の解体、清掃
床下など汚染箇所が表面の清掃で取り除けない場合は、解体して清掃をおこないます。
⑥ 消臭
作業が一通り終わったあとに、部屋全体の消臭をおこないます。
⑦ 張り替え作業
新しい壁紙やフローリングに張り替えます。
まずはご相談を
身近で孤独死が起き、発見してから数か月の時間が経っている場合は、速やかに特殊清掃業者に清掃依頼をするのがよいでしょう。しかし、そのような中でも複数の業者から見積りをとり、各社を比較することが大切です。
遺体があった部屋が借家であった場合は、次にその部屋に住む人がいるということ。必ずきれいな状態に戻さなくてはなりません。
そのために、完全に原状回復してくれるのかどうかを考え、業者の実績や作業内容をしっかりチェックしましょう。わからないことがあれば、業者に直接相談してみるのもよいでしょう。
まとめ
孤独死についてご理解いただけたでしょうか。深刻な問題だからこそ、あなたの身近や将来のあなた自身に起こる可能性は否定できません。
もしも、あなたの家族の孤独死を発見してしまったら・・・最期を看取れなかった悲しみにおそわれ、動揺してしまい、なにをすべきかわからなくなってしまうかもしれません。
そのような場合は、慌てずに警察へ連絡しましょう。そして、安心できる特殊清掃業者に相談してみてください。
きっとあなたの支えとなってくれるでしょう。