日本でも社会問題になっている孤独死ですが、その数は増加傾向にあります。その原因は核家族化、ご近所付き合いの不足など様々です孤独死の遺体はだれにも気づかれず亡くなっているため、発見が遅れがちです。
多くの場合、異臭などがきっかけ発見されるため、遺体の腐敗がかなり進行していますそんな現場の清掃・消臭・消毒を行っているのが特殊清掃員です。今回はそんな特殊清掃員の業務内容について紹介します。
▼孤独死現場の実態と特殊清掃の実例
▼孤独死が増える原因
▼特殊清掃とは
▼失敗しない特殊清掃業者の選び方
▼まとめ
孤独死現場の実態と特殊清掃の実例
孤独死とは、一人暮らしなどの理由によって、人知れず亡くなってしまうことです。孤独死と聞くと亡くなって数週間で気づくようなイメージがありますが、実際には、死後3日以降の発見でも、特殊清掃が必要な事態が起こっています。
ご遺体の身体から血液などの体液が溶け出る場合や、皮膚が溶けたようになっている場合も多く、対処は想像以上に大変です。布団の上で亡くなられていても、体液が布団を通り越して床材に染みこんでいたり、皮膚や頭髪が床などに張り付いたりしていることもあります。
また、発見時間が遅くなるにつれて現場はいっそう悲惨な状態になり、ご遺体の腐敗や死臭、害虫の大量発生などが進みます。特殊清掃業者は、遺体や体液などの汚れの清掃、消臭や消毒、害虫駆除などを行っています。専用の薬剤や洗浄技術を用いて数日がかりで作業をし、ときには建物の基礎なども念入りに洗浄することもあります。
孤独死が増える原因
孤独死が最も多く起こるのは60代、70代の高齢者といわれます。特に下記のような項目に当てはまる人は孤独死するケースが多いといわれています。
・人付き合いが苦手
・経済的・健康的に生活が苦しい
・家事ができない中高年男性
「自活力が低いが、他人に助けを求められない」人ほど孤独死に陥りやすく、女性よりも男性の方が可能性は高いといわれます。社会とのつながりが希薄で身寄りも少ない人に起こりがちなのも、この理由に当てはまってしまうからといえるでしょう。
家事ができない中高年男性は、それまでの人生で食生活や身の回りのことをすべて奥さんや家族に任せていた場合が多く、よりどころを失った後は、一気に孤独な状況へ陥ってしまうといわれています。
また、昔に比べると近隣の付き合いが希薄になってしまっており、核家族化が進んでいることと並んで、孤立の原因となっています。家族と離れて暮らす高齢者は地域の中に人とのかかわりも持つのも難しく、一人暮らしの高齢者のおよそ60%が近所付き合いをほとんど持たないといわれています。
高齢者は体力の低下などによって、自分の生活を自分一人整えるのが難しい状況です。そのうえ、健康的・金銭的に困っても頼る人が近くにおらず、審査が厳しいため生活保護も思うように受けられずに、八方ふさがりになってしまうことも少なくありません。
成人後もいつまでも親に依存して生きているパラサイト・シングルも、頼るべき場所を失った後は孤独死の道をたどると考えられています。孤独死の背景には、自活力の低い人が助けを求められない袋小路という、日本社会の大きな問題があるのです。
特殊清掃とは
特殊清掃はハウスクリーニングの技術では補いきれない清掃を担当する職業です。作業場所の多くは孤独死などで遺体があった場所ですが、ときには、ハウスクリーニングでは手も足も出ないほどの極端に汚れた家や部屋などの清掃も行います。
遺体は死後3日以上放置されると腐敗し始めます。そのときに出るにおいや体液などによって、家具や居室に影響が出るのです。人間の体液は普段の日常生活の中でも落ちにくい汚れの一つであり、それは孤独死の現場も例外ではありません。
建物に付着・浸透した体液は簡単には除去できず、建材を傷めることも多くあります。衛生面も安全面も危うくなってしまったその部屋を徹底的に清掃するのが特殊清掃の仕事です。建物の2階以上の部屋で孤独死が起こった場合は、建材に浸みこんだ体液が階下へ浸透し、建物全体へ影響を出すこともあります。
そのようなときに上下階にわたって行うリフォーム工も、特殊清掃が担当してくれることがあります。遺体が発するにおいである死臭は通常の清掃作業では全くとれず、特殊清掃を行った場合でも3日以上かけて消臭作業を行う場合もあります。また、死後数週間経過した遺体がある部屋には害虫が発生している場合も多いため、それらの駆除も徹底的に行います。
失敗しない特殊清掃業者の選び方
特殊清掃業者に依頼をするときは、どのような点に気を付けて業者を決めたらよいのでしょうか。
1:無条件見積もりが可能か
見積もりを無料で行っている業者は多くありますが、「無条件」というのが大切です。期間や地域、契約の有無を条件にしている業者もあるので、無料だと勘違いして契約しないよう注意しましょう。
2:消臭保証があるか
特殊清掃のトラブルで多く起こっているのは、消臭しきれないという事態です。優良な業者は、再消臭の作業や返金保証のサービスを設けています。保証条件をきちんと確認して、依頼先を検討しましょう。
3:料金表は総額表示か
「基本料金」「作業費用」「特別価格」などと表記されている料金表では、後から出張料金や処分費などを別途で請求される可能性があります。
4:遺品整理
家財や服などの遺品にも死臭はついているので、部屋の清掃だけ行ったのでは死臭を完全に取り除くことはできません。ご親族で故人の遺品整理をしたいとの希望が強い場合でなければ、遺品整理を業者に任せるのがおすすめです。
5:適正な価格の業者
安い業者にお得に施工してほしいと思うのは当然のことかもしれませんが、徹底的な清掃には手間も時間も多くかかり、使う薬剤や機械も高価なので、安い値段できちんと作業をするのは難しいです。極端に安い価格を謳う業者には注意しましょう。
まとめ
特殊清掃と孤独死について、理解していただけたでしょうか?人知れず亡くなってしまう孤独死に一番初めに気づくのは、異臭を訝しんだ近隣住民や大家さんなどであることが多いといわれます。家族の目が届きづらいところで暮らしている高齢のご親族には、できるかぎりこまめに連絡を取るなどして、孤独死を防ぎましょう。
また、孤独死が起こってしまった場合は、季節や気候によってもことの進行速度が変わりますので、いちはやく対応することが必要になります。故人の思い出や人生を大切にしながらきちんと幕を下ろせるように、正しく作業をしてくれる業者に作業をしてもらいましょう。